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なかのひと

3/14/2008

地球へ…:竹宮恵子さん

地球へ…の原作者、竹宮恵子さんは、ジョミー役の斎賀みつきさんに言わせると、「ソルジャー・ブルーとフィシスを内に秘めている人」だそうです。

どんな物語でも、作った人の内なる人格が登場人物の人格になるのだろうと思うので、ソルジャー・ブルーとフィシスはもちろん、セキ・レイ・シロエもジョミー・マーキス・シンもキース・アニアンも、みんな竹宮恵子さんの中にある別の人格だと言うのは想像に難くないですけど。

地球へ…のマンガ少年別冊版を初めて手にした時に、物語の深さ、面白さにはまったことはもちろん、作者の竹宮恵子さんに対しても、賢くて綺麗な女性なんだなあと、憧れを抱いたものでした。

地球へ…には、竹宮恵子さんの、人間というどうしようもなく愚かな存在を冷静に見つめ、妥協することなくシビアに描く姿勢と共に、そんなどうしようもない人間に対する深い愛情と、人間の進歩と良い変化を信じる姿勢を感じます。

竹宮恵子さんは、本当に素敵な女性なのでしょう。
一度でいいからお会いしてみたいものです。

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3/11/2008

地球へ…:もう一つのエンディング

地球へ…DVD最終巻にジョミーとキースの「もう一つのエンディング」が収録されていましたね。

テレビアニメの製作スタッフの間で、ラストはどうするかと議論され、大変難航したそうなので、たくさんあった案の中から、せっかくだからとおまけに付けられたものなのでしょう。

ジョミーとキースの二人は本来主役のはずなのに、他の登場人物にお株を奪われて存在感どころか存在意義さえ希薄だったので、まあ最後くらいは花を持たせてあげたいところです。

それにしてもこの映像、キースとジョミーの涙が「だらだら」という感じで落ちるのはどうかと(^_^;)
できれば「はらはら」と落としてほしかったんですけど…

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3/09/2008

地球へ…:指導者

SD体制下では人間の指導者はグランドマザー(とキース・アニアン)、ミュウの指導者はジョミー・マーキス・シンでした。

地球へ…のラストでは、人間たちが自らコンピューターの部品と化してまで再生を図った地球が滅びます。
それと引き換えに、人間とミュウとは和解し、共存への道を歩むことになるのです。

それまで長い長い対立の時代を生きてきたミュウたちと人間たちは、それぞれに強い指導者を必要としたことでしょう。

でも人間たちがコンピューターの支配から解放され、今後は自分たちの意思と判断で生きることになったので、強い指導力で人々を牽引するソルジャーや国家元首は必要なくなったのだと思います。

テレビアニメでトォニィがソルジャーになっちゃったのは、私はとても不自然に感じました。
だいたい監督が、ミュウと人間との新旧交代を描きたかったのなら、今後人間たちはミュウの支配下に置かれ、ソルジャーの導きに従って生きる訳??

だったらグランドマザーがソルジャーに代わっただけで、何も進歩ないじゃないですか(^_^;)

人間って世代を重ねても成長しない生き物で、古代ローマの紀元前の遺跡から、「最近の若い者は」って言う落書きが見つかったと、誰かが書いていました。

科学技術が進歩しても、現代の人間たちは紀元前の人間たちと何ら変わるところがありません。

大切なことを知ろうとせず、自ら考えず、何でも人任せなのに、結果には不満だらけ…
指導者と言われる人たち、権力や地位やお金を持っている人たちも、私利私欲に走り、全体を省みることをしません。

普通の人より優れた人たちが、滅私の精神で世界を変えていく気がなければ、いつまで経っても世界は今のままでしょう。

地球へ…を通して竹宮恵子さんは、そんな人間たちに「目覚めよ人よ」と呼びかけているのだと思うのです。

ジョミー・マーキス・シンが、キース・アニアンが、自らを捨てて、命を懸けて自分の下にある人たちを導こうとしたように、実在の指導者たちが考えれば、世界は変わるに違いありません。

そして、全ての人間が誰からも支配されず思うままに行動して、なおかつ正しく生きることができるようになれば…

そう考えると、地球へ…のラストは、究極のユートピアへのプロローグだと思えるのです。

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2/11/2008

地球へ…:マツカとキース

私立シャングリラ学園に、とうとうマツカが出演しましたね…
いつ出るのかなあと思って実は少し楽しみにしていたのですが(*^_^*)

マツカはキースに恋愛感情にも似た想いを抱いていたという、テレビアニメを作った人たちの解釈がよく分かりました。

テレビアニメでは、マツカがナスカへキースを救出に向かう時、マツカにはキースが生きているという確信はなく、ただ「僕はあなたを…」という気持ちだけで飛び出して行ったことになっていました。

でもね、マツカは別にそういう気持ちがあったから敢えて危険を冒してまで、単独キースを救出しにナスカへ赴いた訳ではないのですよ。

マツカは原作で、「見捨てられる訳がない!彼はまだ生きているとこれほどはっきりと確信できるものを…!」と考えています。

マツカとキースとは出会ったばかりで、しかも初っ端からマツカはキースに精神攻撃をかけ、キースはキースで「私の後ろから近づくな!」ですからね…

二人の間にこの時点で何か特別な感情や、通じ合うものがあったとは到底思えません。

それでもなおマツカがキースの救出を決意したのは、マツカはミュウだったのでキースの生存を感じており、なおかつ好きとか嫌いとかに関係なく、自分と多少なりとも関わりのあった人間の生存を知っていて平気で見捨てることはできなかったからです。

恐らく洗脳の行き届いた人間であったなら、こんな感情は持たないでしょうし、勝算もないのにそんな無謀な行動には出ないでしょう。

仮に無謀であったとしても、人間として取るべき行動を取ったマツカ…
マツカの人間らしい心が、子供だった私の心を打ったものでした。

それにしても私立シャングリラ学園のマツカはすごかった(^_^;)
コーヒーだけじゃなくて手作りチョコレートも作れちゃうなんて、絶対良いお嫁さんになれます。

そして高城元気さんが楽しそうに演じていること…この可愛さ、異常ですね(^_^;)
やっぱりとても男性とは思えません…

そういえばコミックリーディングは自然消滅したのでしょうか?私はテレビアニメのストーリーはともかく、配役はかなり良いと思っているので、コミックリーディング好きだったんですけど。

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1/25/2008

地球へ…:E-1077

E-1077では成人検査を優秀な成績で通過した少年少女1000名を教育していました。

14歳の誕生日が成人の日なので、恐らくそれまでに今の高校卒業程度の教育が終わって、E-1077は大学教育に相当するのだと思います。

エリート1000名しかいないので、選りすぐりの学生ばかりなのでしょう。現代の日本では超一流大学と言えども、毎年1万人以上の新入生が入学するのですから…

そう考えるとたったの2年間で教育が終わってしまうのも不思議ではありません。
宇宙きっての超エリートばかりなら、2年で相当な量と質の勉強ができちゃうことでしょう。

でもその超エリートの中でもやはり優劣がついてしまう残酷さ…キースとサムとは、同じ教育を受けながらも、一方は16歳にして地球政府の中枢の一端に付き、他方はパイロットか通信士が関の山と言っていました。

ところでE-1077の教育課程は、恐らく2年間が1クールになっているのだと思います。
そうでなければ、シロエとキースが「抜きつ抜かれつトップ争い」することは出来ませんからね…

テレビアニメでは映画の影響を受けたものか、教育ステーションでの教育は4年間になっていたのですが、地球の役に立つ人間を育成することに特化した教育課程ですから、そんなに長時間必要ないでしょう…

その設定により、シロエとキースとは4歳違いということになってしまい、シロエがキースに匹敵する頭脳の持ち主だったということが良く分からなくなってしまっているのは残念です。

私立シャングリラ学園では、現代日本の教育課程の概念を持ち込んでしまったことで、かえって面白くなっていましたけど。

シロエが高らかに「僕は機械の申し子に勝ったんだ!」と叫ぶのに対し、「君、キースと学年違うじゃん…ってか君、中等部だし…」と冷静に突っ込むジョミー…

もう笑い過ぎて、死ぬかと思いましたよ(^_^;)
井上麻里奈さんの声の可愛らしさと弾けっぷり、やっぱり良いなあ…

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1/16/2008

地球へ…:キースの心の穴

ナスカに囚われの身となったキース・アニアンは、コンピューター制御による意識のプロテクトにより、眠っている間にも、地球の本当の情報を決してミュウに与えませんでした。

その鉄壁の心に穴を開けたのが、トォニィです。

キースがSD体制始まって以来の本当の人類、トォニィの存在に衝撃を受けたのは、人間をコンピューターの部品のように扱い、不自然な方法で繁殖し、異質なものを排除して種の存続を図るSD体制に、心の奥で疑問を持ちながらも、そのSD体制の申し子としてこの世に生を受けた以上、その運命には逆らえないという、深い矛盾を抱えていたからでしょう。

トォニィの存在によって自分の中の矛盾を意識し、ついジョミーに自分の心への侵入を許してしまったキースは、ジョミーに「心の半分はシステムに反対している」ことを知られ、動揺します。

「不純物は出るさ…良質なものを作ろうとすれば当然だろう…危険な不純物は処分するのが適切だ!」とメンバーズ・エリートとしての建前を口にしながらも、サムやシロエの面影が脳裏を過ぎり、戸惑うキース…

自分のピアスがサムの血で出来ていることをもジョミーに知られ、「ロマンチストだな」と言われてしまい、キースは逆上します。

ジョミーとキースとが結局ここで理解し合えないことが、子供の私には今ひとつ理解できず、残念でなりませんでした。

ジョミーもキースも、常にいかに生きるべきかを自問しながら自分の属する世界に身を捧げる立派なリーダーであり、お互いが少し譲歩し合えば良い理解者になれるのにと思ったのです。

でも大人になってから、ジョミーとキースとが何故理解し合えなかったのかが、分かるようになりました。

個人としての正義と、集団としての正義とが合致しないことが往々にしてあり、そういう時には集団の正義を行動の規範にしてしまうのが人間なのですよね…

そこに生まれるのが対立であり、誤解であり、憎悪であり…

同じようにシステムに疑問を持ちつつも、ジョミーとキースとが互いの死の直前まで分かり合えなかったことは、本当に悲しいことですが、これが私たちの住む世界の現実なのだと、今では思います。

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1/15/2008

地球へ…:キースとスウェナ

キースは教育ステーションE-1077の同級生スウェナに淡い恋心を抱いていたと思います。

エリートである自分たちは普通の人のように恋をしたり家庭を持ったりすることはできないのだと、自らを厳しく律するキースは「スウェナ、きみならわかるはずだ」と言っています。

キースに一目置かれ、そう言わせるスウェナは、やはり成績優秀なエリートだったのでしょう。また、女性らしい可愛らしい容姿でもありました。

スウェナが一般人コースへ転入するため宇宙船に乗ってE-1077を出発するのを見送り、キースは「生涯の伴侶か…何か空しい」とつぶやきます。

単に自分がエリートとして生涯独身を通さなければならないというだけではなく、頭脳明晰にして美しい同級生スウェナに対して、特別な感情を持っていたからでしょう。

でもシロエが命を懸けて自分の信念を貫いたのを目の当たりにしても、「心の底の底で何かがうずいている」のを「押し殺すくらいわけはない」キースには、恋愛感情を押し殺すことも大して難しいことではなかったに違いありません。

それにしてもスウェナが宙港の技師と恋に落ち、月日と共にそれが深まり、悩みながらもついにエリートコースを退学してまで結婚しようと決意する過程を、たったの7コマで描写しているのは、素晴らしいの一言に尽きますね。

映画のように簡潔かつ印象的に、スウェナの恋とキャリアとの狭間での苦悩が描かれています。

スウェナの人となりは詳しく描写されていないのに、きっととても魅力的な女性だったのだろう、だからキースも好意を持っていたのだろうと、自然に納得できます。

間違ってもキースへの恋心がかなわないと知り、手近な男性と結婚しすぐ離婚して、SD体制下ではありえない反体制ジャーナリストになったり…以下長くなりそうなので略(^_^;)

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1/11/2008

地球へ…:ミュウ因子(続)

前回ミュウ因子はコモン(一般人)で10人に一人、軍部で20人に一人と書きましたが、その後原作を読み返してみて、誤りに気付きました。

キースはグランドマザーに、一般人よりも軍人の方が高率と報告していますが、具体的にどの位の割合かは口にしていませんでしたね。

20人に一人は、コモンのESP反応陽性率でした。

10人に一人がミュウ因子を持っていて、その内二人に一人はESP反応陽性となると言うことですね…

そう考えると、ミュウ因子は普通の遺伝子じゃないのかも(^_^;)
そういう遺伝形式、どなたか分かる方があれば、ぜひ教えて下さい。

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1/10/2008

地球へ…:ミュウ因子

ミュウ因子は遺伝子に違いないと、大人になってからは考えていました。

子供の頃はどう考えていたかと言うと…全く思い出せません(^_^;)おそらく理解できない概念は私の脳を素通りして行ったのでしょう。

ミュウが地球へ向かって進攻し、地球側では全人類に対してESPチェックを行うことになりました。

キースがその際グランドマザーに報告した内容によると、コモンは20人に一人、軍部は10人に一人がミュウ因子を持っており、エリートでは更に高頻度と予想されると言うことでした。

これはかなり多いですね(@_@)

ミュウ因子が一つの遺伝子と仮定すると、ミュウの生まれる頻度から考えて劣性遺伝子でしょう。

20人に一人の旧人類がミュウ遺伝子を持っているなら、ランダムに組み合わせれば、メンデルの法則に従うと、ミュウの生まれる確率は1600分の1です!

軍部の人間の配偶子を使うと、これが一気に400分の1に上がってしまいます…

これではあっと言う間に旧人類はいなくなりそうです(^_^;)

多分グランドマザーはミュウ遺伝子を特定し、排除は禁じられているため、配偶子の組み合わせを操作することによってミュウの出現頻度を少なく押さえていたに違いありません。

ミュウのようなマザー以上を求める者が増えてしまうと、自分の危機を招く結果になりますからね…

最終的にはマザー以上を求める者の代表、ジョミーによって破壊されてしまう訳ですが。

グランドマザーはやはり、自分に対抗する者をありとあらゆる手段を尽くして根絶しようとする独裁者の姿そのままです。

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1/07/2008

地球へ…:万年中間管理職

キース・アニアンが、ナスカ近辺での連続事故調査をグランドマザーから任命され、地球防衛本部へ赴いた時に迎えたのは、冴えない万年中間管理職でした。

地球防衛本部でのキースと万年中間管理職のおじさんとのやり取りが、面白すぎます。

「"冷徹無比な破壊兵器"と異名を取っているそうだな」、「研修生時代には"コンピューターの申し子"と言われたとか?」と挑発し、見下して何とか優位に立とうと画策する万年中間管理職のおじさん…

こういう人いるいる!と、とてもリアルに感じてしまいます。

それに対してキースは顔色も変えず、「またか 万年中間管理職のくだらない皮肉…」、「へたな政治家ほど人の噂に耳ざとい-空しいものだな」と、落ち着き払って考えています。

その後「かなわぬと知ると手のひらを返したようにおせじだ」と、そっぽを向いて小さくため息をつくキース…

でもこのおじさんもエリートの端くれ、キースにかなわないこと位は理解できるようです。世の中には、それにさえ気付かない人が大勢いますからね(^_^;)

若きスーパーエリート、キースに対して、劣等感、嫉妬心と同時に、対抗意識を燃やしてしまう万年中間管理職の姿は、そっくりそのまま竹宮恵子さんの実体験から生み出されているのではと思いました。

竹宮恵子さんも高校生の時から漫画が雑誌に掲載され、新進気鋭の漫画家としてその才能を認められ、話題になり、注目されていたに違いありません。

それを面白くないと思う先輩の漫画家もたくさんいたはず…

竹宮恵子さんは恐らく何度も、キースのような経験をしているのではないでしょうか。
地球防衛本部でのこのやり取りが妙にリアルなのは、そのせいだろうと思います。

キースに、別に望んだ訳ではないのに他者より優れた人間に生まれ付いてしまった者の悲哀を感じるのは、竹宮恵子さん自身がそうだったからなのでしょう。

それにしてもこの万年中間管理職、絶対実在のモデルいるよね…と、読みながらいつも思ってしまう私です。

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1/04/2008

地球へ…:ジョミーはなぜグランパ?

地球のコンピューターシステムの中枢、グランドマザーは、本来の意味は「おばあさん」ですが、作中では「大いなる母」、「威厳のある母」、「マザーコンピューターシステムの中心的存在」という意味で名付けられたのでしょう。

ジョミーがトォニィに「グランパ」と呼ばれていたのは、このグランドマザーと対等にわたり合える存在であることを示唆しているのだと思います。

旧人類のシステムの要、グランドマザーと対を成す、ミュウの要、人間らしさの象徴がジョミーであるということですね。

トォニィは子供の頃、自分の両親の生みの親がジョミーだと教えられ、ジョミーを「グランパ」と呼んだ訳ですが、そこには竹宮恵子さんのこのような意図が込められていたのでしょう。

地球へ…の第一部では、テラズナンバー5の作り出す強力なテレパシーに対抗できるほどのエネルギーを持ったテレパシーを送る能力を持つのは、ソルジャー・ブルー以外にないとされていました。

その上位に位置するグランドマザーは、更に強力な力を持っていたに違いありません。ソルジャー・ブルーは、自分にはグランドマザーに匹敵するほどの力はないと判断し、長い長い間、自分を凌ぐ力を持つ後継者を探し続け、待ち続けたのでしょう。

対話するにせよ対決するにせよ、グランドマザーとの力の差が大きすぎると、歯牙にもかけられないでしょうからね。

そして現れたジョミーに、ミュウと人類との未来は託されました。

竹宮恵子さんは、グランドマザーの対極に位置し、人間の尊厳をかけてグランドマザーと対決するジョミーに「グランパ」という呼び名を与えたのだと考えています。

それにしても私立シャングリラ学園のトォニィは可笑しかった(^_^)

グランパは英語で「偉い人」っていう意味だと勘違いしていてキースに指摘され逆切れ(^_^;)
本編同様の圧倒的破壊力で暴走しまくっていました。

TVアニメの地球へ…は、どうしてこんなにもパロディの方が面白いのでしょうか…

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1/03/2008

地球へ…:ミュウの超能力

地球へ…がTVアニメになってから、ミュウが超能力者であることをうらやましいと考える人が多いと知って驚きました。

人より優れた点があるということは、かえって不幸なことなのですよ…

例えば旧人類はミュウを、自分たちより進化した、より優れた存在と判断したため、恐れ弾圧したのであって、旧人類にはないその能力こそがミュウたちの不幸そのものなのですから…

それを単純に超能力があってうらやましいと思うのは、想像力に欠けるのではないでしょうか?人にない能力を持っていると言うことは、それだけで一つ十字架を背負っているようなものなのに…

地球へ…に限らず、人間の作り出す物語の登場人物は、ほとんどの場合作者の分身だと思うのですが、竹宮恵子さんの分身であるソルジャー・ブルー、ジョミー、シロエ、キース、その他の登場人物たちは、みんな他の人の持たない能力を持ち、他の人の気付かないことに気付いてしまい、他の人の思いもよらないような深い苦悩を抱えて生きています。

その姿はそのまま、人より優れているが故にかえって人より生きることが困難だった竹宮恵子さんの姿を反映しているのだと思います。

キース・アニアンはナスカを殲滅する時に「人間には人間以上は要らない」と言っています。キース自身が実は人間以上だったのですが、キースはSD体制を守るためにシステム自身によって作り出された存在だったので特殊な例外として、「世界の秩序」を守るためには、優れたものは往々にして邪魔者になるのですよね。

ジョミーが言ったように「マザーにあやされ育てられた意思のない、目も耳も口もふさがれながらそれを知らない」人間ばかりなら、支配しやすいのですから…

人より優れた能力を持っている存在がうらやましいと思っても、それと表裏一体の苦悩を想像すると、自分はそうでなくて良かったと思えるはずです。

あっという間に2008年となりました。今年もどうぞよろしくお願い致します\(^o^)/
このブログをたくさんの方が読みに来て下さり、嬉しい限りです!
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12/30/2007

地球へ…:理力

地球へ…の連載が始まった1977年には、スターウォーズが公開されているのですよね(^_^)

地球へ…の第一部が終了した後にスターウォーズが公開されたので、第二部から一層スケールが大きく、宇宙全体を舞台として物語が展開し始めるのは、やはりスターウォーズの影響があったものでしょう。

第二部が連載されている頃にはすでにスターウォーズが話題になっていたと見え、第二部の総集編に収録されている「まんまりの日々 またのタイトル"テラ"のできるまで」の中に、「理力」と言う言葉が出て来ます。

そういえば、スターウォーズ新三部作が公開されるまで、「フォース」は「理力」と訳されていたなあと懐かしくなりました。

竹宮恵子さんが「理力」を口にするのは、アシスタントさんにコンピューターパネルの碁盤目を所々黒く塗るよう指示するところです。

セキ・レイ・シロエが、キース・アニアンの出生の秘密を探るため、E-1077のデータバンクを管理する技師さんに近付き、情報を引き出してもらうよう頼む場面でした。

この場面、巨大なコンピュータールーム一杯にパネルが並び、それを部屋の中央のずっと下の方から見上げるように描いてあります。

真ん中にちっちゃな宇宙船に棒のようなスタンド(?)の付いたものがあり、これが実際にコンピューターを操作する道具のようでした。

今のコンピューターの概念とは随分違いますが、これはこれで、当時の未来感が何となく分かり、レトロながらも面白いと思います。

このページ、シロエの「マザー・イライザ!お前の最愛のトップエリートを…お前の手でぶちこわさせてやる!」という独白も加わって、とても印象的なページでした。

でも、これを描くのに二人のアシスタントさんが3時間もかけたとは、漫画とは本当に手のかかるものなのですね…

筆を使うとはみ出してだめよぉ!とか騒ぎながら四苦八苦しているアシスタントさんたちに、竹宮恵子さんは涼しい顔で「理力をお使いなさい」と言うのです(^_^;)

この頃竹宮恵子さんとアシスタントさんたちの間で、スターウォーズがちょっとしたブームだったのでしょう。

今発売されているコミックスだと、こんなことは知る由もないので、マンガ少年別冊版が手に入ってご満悦の私でした。

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12/25/2007

地球へ…:キースとサム

キース・アニアンとサム・ヒューストンは、なぜあんなにも気が合ったのでしょうか?

二人はかなり対照的に描かれています。

サムは素直ですぐ感情を表に出してしまう気の良い人で、システムに対する疑問を持たず、うまく洗脳されてしまっています。また、曲がりなりにもエリートコースには来たけれど、どうもエリートの中では落ちこぼれのようです。

キースは内面的には非常に感情的で、システムに対する疑問も持っているのですが、それを表に出すことの無い、抑制の効いた性格です。また、エリートコースの学生の中でも特に優秀で、教授たちにも「彼はあまりにも完璧だ。まるでマザーイライザの申し子のように」と評されています。

今TVアニメを再放送しているので、ついついそれを見てしまうのですが、キースが宇宙の藻屑になりそうな所をサムが助けたとか、何かドラマチックなことがあって一気に友情が芽生えたと言う設定は、あまりにもお手軽すぎですね。

お互いを受け入れられるかどうかが、友人関係においては重要なのではないでしょうか。

TVアニメのサムは、あんなドラマティックな友情の始まりを経験していながら、キースに「お前は俺たちとは違うんだよ」などと、随分ひどいことを言い放っています。

何となく自分は他の人とは違うような気がしているところへ、一番の親友だと思っていた相手からそんな言葉を投げつけられたら、私なら百年の恋(あっ友情か…)も一気に醒めますね…

キースとサムとの友情は、サムがキースを特別視しなかったから成り立ったし、その後も続いたのだと思っています。

人間は、異質なものを恐れ、排除しようとする…

キースはその完璧さから、人から羨まれ、時には妬まれたり恐れられたりしたに違いありません。

サムは、キースの感情的なところ、人間的なところも知っていて、特別視したり妬んだり恐れたりはしなかったので、キースはサムに心を許していたのでしょう。

TVアニメを作った人たちには、キースの孤高の魂が理解できなかったのでしょうね…人より優れているということが、時には辛いことであると言うことも、分からないのかも…

そう言えば、再放送を見ていて初めて気付いたのですが、毎回脚本を書いている人が違うなんてびっくりしました(@_@)

Wikipediaで調べてみると、アニメではそれ程珍しいことではないようですね。人間の俳優さんが演じるドラマだったら、普通はありえないと思うのですが…

TVアニメでの登場人物像のあいまいさも、ストーリーのちぐはぐさも、脚本を書く人が毎回変わることと少なからず関係するのでは?

世界に冠たるアニメ文化を誇る日本なのに、こんな粗製濫造をしていないで、きちんとした作品を少し作るのでは商業ベースに乗らないのでしょうか?

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12/15/2007

地球へ…:異端児が世界を変える

地球へ…の主要な登場人物たちは、みな異端児です。

セキ・レイ・シロエはエリート候補生でありながら、非人間的なSD体制を断固拒否し、自分の人間としての尊厳を保つためには死をも辞さない強い意思を持っています。

ジョミー・マーキス・シンは、成人検査までの14年間を過ごしたアタラクシアで、自分の住む世界や、他の人間に対する違和感や疑問を抱きながら、体制からはみ出した、感情過多な問題児として育ちました。そして、他のミュウとは比較にならない位の強力な超能力を持っています。

ソルジャー・ブルーは、ミュウと言う新人類が人間に認識された最初の存在で、やはり非常に強い能力を持ち、明らかに他者とは異質な存在です。

キース・アニアンは、マザーコンピューターのプログラムの一環としてSD体制護持のために作られた、いわば人造人間で、人間ともミュウとも異質な存在です。なおかつ人類の指導者となる宿命を負いながらも、他の誰もが信じて疑わないSD体制に対する深い疑問を常に持ちつつ生きています。

これほどまでに異端児ぞろいの登場人物…

思うに、作者の竹宮恵子さん自身が異端児だったことが、この物語を作る原動力になったのではないでしょうか。

登場人物の一人一人が、きっと竹宮恵子さんの分身なのでしょう。

高校時代から漫画を描き雑誌に投稿し、大学を中退してまでプロを目指し、20代で地球へ…のような漫画を作ってしまう、行動力と圧倒的な能力を持っていた竹宮恵子さん…

子供の頃からSF漫画が好きだったそうで、女の子としては少し変わった子だったのでしょうし、また何事も鵜呑みにせず流されず、色々なことを批判的に考える大人びた子だったのではとも思います。

必然的に、子供の頃は他の子たちからは多少浮いた存在だったのでは…

でも結局世の中を変えて行くのは、お上から押し付けられることに疑問を持ち、自分の力で考え、行動していく人たち、つまりは異端児たちなのですよね。

シロエはその生命と引き換えに、キースに決定的なSD体制への疑問、また人間とは何かと言う疑問を植えつけました。

ブルーとジョミーはミュウのリーダーとして最終的にはSD体制を打破し、遠い未来には人間もミュウもない世界を実現しました。

そしてキースは、コンピューターの支配から人間を解放しました。

ここまで劇的でなくても、流され何となく生きているだけでは、何も変えることはできません。

地球へ…は、人として生まれたからには意味のある生き方をしたいという、竹宮恵子さんの想いが込められた物語だと思っています。

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12/12/2007

地球へ…における階級とは

地球へ…の世界は完全な管理社会であると同時に、階級社会でもあるようです。

セキ・レイ・シロエは技術者階級の第3階級出身だったので、機械やコンピューターに強かったという設定でした。

成人検査の成績が良かったので、エリートコースに入ったのだと言っていました(それもあるでしょうが、前述したようにマザーコンピューターの計画の一端でもあったのでしょう)。

では第1階級は?
恐らく司法や行政などに携わり、マザーコンピューターの勅命に従って世の中の仕組みを実際に動かす人たちを言うのではと思います。

では現代の感覚で考えると、第2階級は軍人でしょうか?

キース・アニアンはエリート育成機関の教育ステーションE-1077で作られ、エリート候補生として教育され、卒業前にメンバーズエリートに選ばれたにもかかわらず、軍人になっていますね。

エリートはマザーコンピューターの判断により、適性に従い第1階級と第2階級とに分けられているのでしょうか。

キースは後に政治家となり、最終的には国家元首にまでなっていますが、確かにキースには政治家などより軍人の方が似合います。冷静沈着にして勇猛果敢、そして冷徹無比な破壊兵器ですからね。

その辺りをTVアニメではうまく描写できず、単なる野蛮で残忍な人物になってしまっていたのが残念でしたが(T_T)

それにしても出生前から大体の能力が分かってしまうとは、究極の出生前診断ですね。
生まれる前に、既に適正や職業をコンピューターによって判断され、振り分けられるなんて、何と希望のない社会なのでしょうか…

この辺りも、与えられ決められた自分の運命に疑問も持たず、敷かれたレールの上を漫然と走る、無気力な人間ばかりとなってしまった現代社会を風刺しているように思えます。

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12/09/2007

地球へ…:マツカ役の高城元気さん

地球へ…のTVアニメのキャストは、ジョミー役の斎賀みつきさんも、シロエ役の井上麻里奈さんも、容姿端麗な女性なのに声は少年としか思えなかったので、マツカの声を聞いた時には、高城元気さんを女性と信じて疑いませんでした。

元気なんて、女性としては変わった名前だなあと思っていました。
まさか男性だったとは(@_@)本当に驚きました。しかも10代の少年かと思いきや、20代後半の男性だなんて…

地球へ…の打ち上げの時に店員さんに女性と間違えられる程、容姿も可愛らしいと知り、そんな男性もいるのかと思ったものです。

高城さんの声も大変はまり役で、マツカの健気で儚げな感じを良く表現なさっていたと思います。あまりに可愛い声なので、キースとマツカの関係が、原作にはなかったような擬似恋愛関係のように感じられたのではないでしょうか。

高城さんは原作が完結した後に生まれ、原作も読んだことがなく、周りの人達の方が地球へ…を良く知っていたので、マツカを演じることがプレッシャーだったとおっしゃっていましたね。

マツカ役に決まった時には本人よりもお母さんの方が大喜びだったとか。

Premium Fan Discを聴いて思うのは、他の声優さんに関してもそうですが、高城さんも年齢より随分と大人だなあと言う事です。

地球へ…に関して、またマツカとキースの関係に関して考察し、マツカを演じるに当たって何を考えていたかを話す高城さんには、同年代の日本の俳優さんにはなかなか見られないような深い人間性と知性を感じました。

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12/07/2007

地球へ…:キース役の子安武人さん

子安武人さんは40歳だそうですが、TVアニメでキースが登場した回の声は、ちゃんと14歳に聴こえるから不思議ですね。後半に来るとちゃんと年相応に渋く、人生の疲れもにじませていましたし。

声優さんってすごいと思います。顔を出さないから、幅広く色々な役をこなせるのでしょうね。

Premium Fan Discの中で井上麻里奈さんがキースのことを「そういう純真無垢なキャラが人気出るからむかつくんですよー」と言ったのに対して、「そういうこと気にし過ぎだよ。俺なんか20年以上悪役ばっかだから全然気になんないもん」と答えてました。

確かにあのクールな声なら、キザで二枚目な悪役が似合うかも。

地球へ…には絶対的な正義とか悪とかいう概念は存在しないのですが、何故かキースを悪役と考えている人もいるようですね(^_^;)

そういう位置付けじゃないと思うんですけど…

ミュウの視点に立てば、ミュウを弾圧する地球側のエリートであるキースは悪役なのでしょうが、キースにはキースの立場があり、逆らえぬ運命があり、苦悩の中で彼なりに最善を尽くしてるんですから、色々大変なんですよぉ。

子安さんにとってはキースはずっとやってみたかった役で、大切な役だったとおっしゃってましたが、Premium Fan Discでの壊れっぷりは余りにも豪快でしたね。

ひょっとしたら私立シャングリラ学園のキースの方が、子安さんの素なのかもと思いました。相当壊れてましたが、面白かったです。

女風呂を覗く方法を探せと命令されて、何故か関西弁みたいになっちゃうマザー2号…爆笑しました。

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12/06/2007

地球へ…:マツカとキース

マツカがミュウであったにも関わらず成人検査をパスしてしまったことも、教育ステーションを何とか卒業できたことも、辺境に配属されてキースと出会ったことも、恐らくグランドマザーのプログラム通りだったのでしょう。

ミュウのことを知り、対処法を模索し、なおかつキース自身がミュウとして覚醒するためには、マツカというミュウの存在を利用することが必要だと、グランドマザーは考えたに違いありません。

キースが教育ステーション時代にマザーイライザの計画通りにシロエと出会い、シロエを自らの手で死に至らしめたことを考えると、グランドマザーにはその位のことはたやすいことだと思います。

マツカは、キースにとってどういう存在だったのでしょう?

キースはある程度マツカに心を許し、それなりに信頼を寄せているとは思うのですが、一方で「道具のように」扱い、容赦ない言葉を浴びせたり、気に食わないことがあればいじめてみたりと、かなりマツカがかわいそうです。

キースが唯一心を許した友人のサムは、ミュウの(正確にはジョミーの)精神攻撃を受けて幼児退行してしまい、昇進すればする程周りには敵が多くなり、キースはどんどん孤独になって行きました。

キースが本音で接することのできる相手と言えば、マツカしかいなかったのでしょう。外では虚勢を張っている駄目な男が彼女に甘えるような感じなのでしょうか…

マツカはマツカで、自分の正体を知りながら生かしておくキースという人物に恩義を感じ、興味を抱きつつも、一方では恐れています。

マツカがキースの命と引き換えにその生涯を終える直前、キースの優しさを感じ取り、「彼に付いて来て良かったのだ…満足だ…」と涙する場面、その優しさはマツカに向けられたものではなかっただけに、キースのために命を賭けたマツカの心に、切ないものを感じたものでした。

マツカもまたコンピューターに運命を操作され翻弄され、死んでしまって初めてキースに心から受け入れられた、本当に気の毒な人物でした。

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12/05/2007

地球へ…:シロエとキース

シロエとキースとは、正反対なようで実は似ていたのではと思います。

シロエはキースのことを誤解しており、最後まで「感情のないやつ」、「疑いもなくイライザに同調する」と言っていますが、実はキースはかなり感情的であり、かつ体制に疑問を持ちながらも、それを決して表に出さないだけなのです。

新入生ガイダンスで何度も見ているはずの成人検査のくだりを正視できず思わず外に出てしまうキース、サムの諦めの混じった優しさにイライラするキース、イライザに「全てはあなたの指導者としての素質を理想的に開花させるために計算された告知」と言われて憤りを感じるキース、いつもキースは他の人間よりもずっと感情的です。

恐らくは成人検査によって記憶や感情の操作をされていないため、他の人間よりもずっと人間的だったのがキースなのではないでしょうか。

そんなキースには、あくまでも人間らしくありたいというシロエの切実な願いが理解できたのではないかと思います。

だからこそ、自らの手でシロエを撃墜した後に、涙を流したのでしょう。

逆に、シロエにはキースが全く理解できなかったのだと思います。シロエは、キースが感情に乏しく、体制に疑問や不満を持っていないと考えて、うらやましかったに違いありません。

人は自分に無いものを他人が持っている(あるいは自分の持っているものを他人が持っていない)と、羨むものですから…例えそれが誤解であったとしても。

それにしてもシロエが技術者を養成するエネルゲイア出身でありながら、キースと同じエリートコースへ進んだことも、キースに影響を与えたことも、キースの手で「処分」されたことも、全てコンピューターのプログラム通りだったという設定は、何だか空恐ろしく感じました。

運命と言う、本来は人間の力の及ばないはずの領域にまで、自らの作り出したシステムが関与し操作している…

SD体制下の人間たちは、そのことに気付いてもいないことが、悲しくもあり恐ろしくもあります。

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12/02/2007

地球へ…:ジョミーとキース

ジョミーとキースとは、対立するミュウと人間の指導者という立場でありながら、その使命感と意思の強さ、圧倒的な能力など、共通点の多いキャラクターです。

二人の間の決定的な違いは、ジョミーはSD体制から逸脱し、対立する存在であるミュウの長となる運命だったのに対し、キースは人間の指導者となるべく特別に作り出され、体制を守るよう運命付けられた存在だったということです。

キースは教育ステーションE-1077時代にジョミーの送った思念波通信を目にして、「憧れのような気持ち」に包まれています。

マザー・イライザに「今は忘れなさい」と言われて、「忘れろだって?あのとびきり澄んだ印象的な瞳をどうやって…」とも考えています。

キースはSD体制に疑問を抱きながらも、その体制下で生きる以外に選択肢を持たない存在だからこそ、SD体制に支配されない、ミュウであるジョミーに憧れたのでしょう。

ジョミーの方はキースがナスカにやって来て初めてキースを知りますが、やはりキースを「強い存在」と意識し、「なぜぼくはあの男を生かしておく気になったのか」と疑問に思いつつも、殺すことが出来ませんでした。

ジョミーとキースとは、互いに非常に似た存在であり、また互いに尊敬すべき相手だと言うことを無意識に認め合っているのですよね。

キースがナスカから脱出したことにより、ナスカは地球軍の攻撃を受け壊滅してしまいます。初めて読んだ時には、あの時どうしてキースを逃がしてしまったのジョミー!と思っていました。

でもナスカでの出会いは、互いに優れた指導者であるジョミーとキースが、もっと後になってから本当に対等な者同士として対峙する、序章に過ぎなかったのだと思います。

ナスカで多くの仲間を失ったことにより、視力も、聴力も、言語も失ってしまったジョミーは、単なる憧れや母性愛の代償、ソルジャー・ブルーとの約束だからと言う以上に、失くした仲間たちのためにも、ミュウの未来をかけて、何としてでも地球へ向かわなければならないという思いを強くしたのでした。

ナスカ以前はどちらかと言うと、「全てのミュウの力を合わせたよりも強大な」力を持つジョミーの方が、キースより能力も余裕もあり、弾圧される側でありながらなお、立場的に優位に立っていたような気がするのですが、ナスカ以降対等な存在として、生涯の敵であり、なおかつお互いに敬意を払う存在になったのだと思います。

地球へ…は、一方が正義で他方が悪だとか、単純な世界観で描かれてはいません。現実世界のように、人にはそれぞれに生きる目的や意味、信念があって、簡単には譲れないものだからこそ、争いが起こってしまうのです。

SD体制は悪のような気もしますが、それでも最初は人間が自らの意思で、うまく活用しようと考えて導入したものですから、結局は人間の選択の誤りであり、絶対的な悪ではないのですよね。

ジョミーとキースとが対立することは、優れた者同士、敵対する組織のリーダーである以上避けられない運命であり、グランドマザーと戦うジョミーに心で加勢したキースが、結局はグランドマザーに操られてジョミーを撃ち殺してしまうのもまた、避けられない運命だったのだと思います。

何十年も(ミュウと人間と言うレベルなら何百年も)争って来て、最後にはあっさり和解してめでたしめでたしと言うような安易な結論になるはずがないですから。

地球へ…の中では、個人レベルでは尊敬し合い、分かり合えるはずなのに、国家レベル、民族レベルでは分かり合えない人間の不合理が、本当にうまく描かれていると思います。

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11/30/2007

地球へ…:一般人の鈍感さ

地球へ…の教育ステーションE-1077編では、地球に住めるのは一握りのエリートだけで、一般人は地球に憧れながらも、一生地球の土を踏むことなく死ぬ人も多いと設定されていました。

16歳にしてメンバーズエリートとなったキースに対し、サムは「たまには地球へ降りられるだろうからその時は宿をたのむよ」と言っています。

でも物語が後半に入ってくると、何故かかなりの数の一般人が地球で暮らしているのですよね…竹宮恵子さんの心境の変化なのか、忙しさの中で最初の設定を失念してしまったのかは定かではありませんが(^_^;)

地球で暮らしている一般人の大半は、地球政府に対し一定の貢献をした、定年退職者なのではと思いました。高齢化が進んでいるようでしたし、毎日何をするでもなく図書館へ行ったり、ゴルフをしたり、旅行したりと、ずいぶんと優雅な生活を楽しんでいるようでした。

情報は政府広報以外になく、人々はそこで発表されることが事実であると信じて疑わず、政治や軍事のことにはほとんど無関心なようでした。

またSD体制を素晴らしいものと考えており、自分の意思で自分の生き方を選ぶことは不合理だと考えていました。

洗脳され、統制された世の中であることが分かります。

またミュウに対する無知と、偏った情報から、論理的な根拠もなく恐れ忌み嫌っている様は、現代の国家や人種、文化などの違いによる無理解や対立を想起させます。

本当は複雑な世の中を、プロパガンダによって単純明快であるかのように錯覚させ、都合の悪いことは誰かを悪者に仕立て上げ、攻撃の矛先を向けさせるという支配の仕方には、例の鉤十字を旗印にした悪名高き政権が行った民族大虐殺に、「ごく普通の善良な一般人」の多くが加担したという歴史を思い出します。

善良なる一般市民の無知蒙昧と言うのは、実は最も罪深いことなのだと思います。

TVアニメ化に当たって、竹宮恵子さんが製作スタッフに対してたった一つだけ要求したのが「一般人の感覚の鈍さ」をきちんと描写してほしいということだったそうです。

地球へ…の中でもこれは重要な要素であり、事実を正しく認識し、正しく行動するということは難しいということを多くの人が知らないことで、様々な不幸が起こるのだと訴えたかったのだろうなあと思っています。

現代の日本人を省みて、地球へ…の一般人たちと重ねてしまうのは、私だけではないと思うのですが…
 

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11/29/2007

地球へ…:キース・アニアンの悲哀

キース・アニアンとジョミー・マーキス・シンは、表裏一体の関係です。

一方は人間の、他方はミュウの指導者として、高い能力と統率力を持ち、人間あるいはミュウの未来の鍵を握る存在で、状況によってはキースとジョミーが入れ替わっていてもおかしくはなかったと思います。

ジョミーの市民番号はAD06223でしたが、キースの認識番号はME076223で下4桁が同じなのは、それを意識しての設定でしょう。

キース・アニアンは、実はミュウだったと私は解釈しています。

SD体制の下、ミュウは次々と生まれ続け、その数を増していました。

グランドマザーは、ミュウを排除し弾圧する権利を与えられながらも、ミュウ遺伝子(原作中では素因子と表現されていますが)を抹消してはならないという、矛盾するプログラムに従っていました。

SD体制開始以降の全ての配偶子の組み合わせと、ミュウの発生とを合わせて解析すれば、グランドマザーにはその原因遺伝子を特定することは容易だったでしょうし、作中でもそういう設定になっています。

人間を凌ぐ特殊能力を持つ新人種を、旧人類という種を保存するために排除していくには、同等以上の能力を持った存在を、人間側の指導者として据える必要があったのではないでしょうか。

だからグランドマザーは、人間の指導者として、敢えてミュウ因子を持つキース・アニアンを作ったのだと考えています。

地球へ…の作者の竹宮恵子さんが、どの時点でそう設定したのかは分かりませんが、キースがミュウだということを示唆する事実はたくさんあります。

まず、キースは他の人間のようにはミュウの精神攻撃を受け難かったこと。マツカもミュウだったので、やはり精神攻撃の影響を受けませんでした。

キースに14歳以前の記憶がないことだけでは、E-1077でたった一人だけジョミーのメッセージに影響を受けなかったことは説明できません。

やはり純粋な旧人類ではなかったからだろうと思います。

成人後の全人類にESPチェックを施行することになった時、グランドマザーに「私は陰性です」と報告したキースは、「もちろん陽性のはずはありません。あなたは特別だから」と言われています。

ジョミーが覚醒前に、度重なるESPチェックをかいくぐってきたことを考えると、キースはミュウの遺伝子を持ち、なおかつ非常に強い能力を持っていたのではと推測されます。

また終盤に来ると、マツカと長い間行動を共にしていたため覚醒したものか、ますます特殊な能力を発揮するようになり、他人の心の中が分かってしまうようになっています。

会議で地球代表の弱気を察知してしまうという描写も、無意識の内に他人の意識を読んでいることを伺わせます。

ジョミーを連れてグランドマザーの元を訪れる場面でのキースの独白で、「包みこむような優しさ まだ幼い少年のしなやかな感情-思慕のような…」とあるのは、ジョミーの意識を読んでいる描写としか思えません。

ジョミーの希望、哀しみ、涙をキースが感じ取ることができたのは、やはりジョミーの心をテレパシーで感じたからでしょう。

キースもまた自分の置かれた立場で、人類のより良い未来のため、必死に道を模索し、精一杯生きています。

地球へ…で描かれる世界では、人間、ミュウともに本当の母親の愛を知らず、そのため母なる地球を求めて止まないというのが、物語の重要な鍵になっています。

グランドマザーの合成した遺伝子により作られたキースもやはり、母なるグランドマザーに逆らうことはできず、SD体制への深い疑問を心に宿しつつも、SD体制護持のために全てを投げ打っています。

母といえば、フィシスが遺伝上の母に相当すると知って、キースはフィシスに思慕にも似た感情を抱いています。

地球へ…を初めて読んだ頃には、キースを体制に翻弄され飲み込まれてしまった気の毒な人物と考えていました。

キースは理性的で、なおかつサムを生涯友人として大切に思い、わざわざサムの事故の謎を解くために単独ナスカの調査に向かい、サムの血で作ったピアスを常に身に付け、多忙な中サムの見舞いを欠かさない義理堅い人物です。

また、厳しくミュウ弾圧を行ったのも、親友のサムをあのような状態にしてしまったミュウを許せなかったからでしょう。

キースがもしミュウとして生きていたら、きっとジョミーの良き理解者、協力者になったでしょうが、人種や体制や思想の違いから、理解し合えるはずの二人が対立し、最後には一方が他方を殺してしまう…

でもそればかりではなく、グランドマザーに逆らえなかったキースは、ひたすら母なるもの、ひいては自分のルーツや存在意義を求める人間の悲哀を現していたのだと、今は思っています。

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11/22/2007

地球へ…:プロットの穴

地球へ…は素晴らしい素晴らしいと騒いでいますが、実はこの原作、プロットが穴だらけなんですよね(:_;)

地球へ…以外の作品をあまり読んでいないのですが、原作者の竹宮恵子さんはどうも、大まかなプロットと主要な登場人物の設定を決めてしまうと、細かいことは気にせず勢いで一気に描き切ってしまう人のようです。

映画のように公開する時に合わせて作るものではなく、少しずつ発表していく連載もので、しかも当初は第一部のみで終わりの予定だったと言うので、後々若干の設定のほころびが出てくるのは仕方ないとは思うのですが、それにしてもかなり大胆だなあと思うことが多々あります。

一番すごいと思うのは、時間軸がめちゃくちゃなことです(@_@)

例えば教育ステーションE-1077で、新年を祝うパーティーが催されたシーンは、S.D.534年の年末で、この年キース・アニアン、サム・ヒューストン、ジョミー・マーキス・シンは16歳のはずです。

ところが、連載の回数としてはそれ程離れていないと思うのですが、ナスカでジョミーとサムとが再会した年は、S.D.577年で、作中ではジョミーとサムは23歳となっています…

普通に考えて59歳だろ!と思うんですけど(^_^;)

最初に読んだ時にはストーリーを追うのに一生懸命で全く気付きませんでしたが、小学生の私でも二回目に読んだ時におかしいと思いましたよ…

これ、描いてる人達も編集者さんとかも誰も気付かなかったんでしょうか?不思議でたまりません。

それから、ソルジャー・ブルーとフィシスが、いつどこで出会ったかと言うのも、謎すぎ(T_T)

フィシスがユニバーサルの水槽の中でまだ目覚めずにいた頃、ブルーは「恐ろしい囚われの身」(ジョミー談)だったそうですが、ブルーは3世紀に亘って生きたはずで、死んだ時に201歳未満では有り得ません。でも比較的若い頃にユニバーサルの研究所から脱走し、船を奪って地中に潜んだはずですよね…

フィシスがミュウの母船に迎えられたのは、ジョミーが来た50年前ということですから、どう考えてもフィシスが水槽の中にいた頃ブルーは150歳超えてます…

成人検査を受けた14歳からとして、130年以上もユニバーサルの実験体として囚われの身だったの?

しかも、仲間たちとユニバーサルを脱走してすぐ、思いに描く星はと言えば地球ばかりだったはず…

なのに物語も終盤に来て急に、フィシスが水槽の中で見ていた地球の夢に魅せられて、いつしか地球に憧れるようになっていたとブルーが言っているのは、どう考えても納得いかない(ーー;)

まあ30年の間に、出版側の誰かが途中で気付いても、それを訂正するのも恐れ多い程の伝説の名作になってしまったと言うことで(^.^)

何だかんだ言っても、これだけ多くの大胆な設定ミスがありながらなお、何度読んでも新たな感動を覚えるのは、登場人物たちの人物像、人格がしっかりと設定されていてぶれが無く、テーマやメッセージにも一貫性があるからだと思うのでした。

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11/19/2007

地球へ…の世界観

地球へ…の原作は、東西冷戦時代の真っ只中で描かれました。
ちょうど映画の世界では、ジェームズ・ボンドがソ連のスパイをやっつけていた頃でしょうか(^_^;)

地球へ…の主人公の名前、ジョミー・マーキス・シンのファーストネームは、アメリカのSF作家ヴァン・ヴォークトの名作「スラン」の主人公の名前、ジョン・トマス・クロスから取られたそうです。ジョン・トマス、英語の原則に従うと、愛称はジョミーですね。

そしてミドルネームとラストネームは「ごろ」で決めたと、作者の竹宮恵子さんはおっしゃってました。

でも私は、実はジョミーのミドルネームの「マーキス」というのは、マルキシズム→共産主義独裁国家を暗示していたのでは?と思っていました。

地球へ…で描かれるスペリオルドミナント(SD体制)は完全なコンピューター管理社会で、当初は人類自らの判断で導入されたのに、長い年月の内に徐々にコンピューターの支配力が増し、人間を支配下に置くようになり、人間性は失われ、意思と感情を喪失したコンピューターに従順な人間たちが粛々と暮らす、不気味な社会です。

現実の世の中の多くの独裁者たちも、最初は民衆によって選ばれ歓迎され、世の中を良くしてくれるかもと言う期待をかけられていた人が多いのです。

でも一度権力を手にしてしまうと、やはり堕落し、それを濫用してしまうのが人の常…ほとんどの独裁者たちは民衆の期待を裏切り、暴走し、破滅しました。

地球へ…のスペリオルドミネーションは、現実のそういう国家の姿を戯画化して描いたものではと思っています。

人間ならいつかはその生命が終わる時が来ますが、マザーコンピューターには寿命がなく不滅のようなので、人間の独裁者より更に恐ろしいです。

支配され、監視され、統制され、偏った情報しか手に入らず、反逆者は即「処分」と言う社会では、人間性を保つのは難しいと思います。

何も共産主義独裁国家でなくとも、今の日本だって、国民は監視され、統制され、情報を操作され、権力者の好いように踊らされて支配され、しかもそのことにほとんどの人が気付いていません。

社会全体が異常なら、それが異常だということに気が付くことはおろか、疑問を持ったりすることも難しいですよね。

地球へ…で描かれた世界に、今の地球環境が近付いて来たという人がいましたが、実は地球へ…の世界に近付いているのは、今の社会情勢ではないでしょうか。

地球へ…にこめられた数あるメッセージのうちのひとつは、人間の正しい知識と判断と意思とを、システムに奪われてはならないということだと思います。

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