キース・アニアン

地球へ…:プロットの穴

地球へ…は素晴らしい素晴らしいと騒いでいますが、実はこの原作、プロットが穴だらけなんですよね(:_;)

地球へ…以外の作品をあまり読んでいないのですが、原作者の竹宮恵子さんはどうも、大まかなプロットと主要な登場人物の設定を決めてしまうと、細かいことは気にせず勢いで一気に描き切ってしまう人のようです。

映画のように公開する時に合わせて作るものではなく、少しずつ発表していく連載もので、しかも当初は第一部のみで終わりの予定だったと言うので、後々若干の設定のほころびが出てくるのは仕方ないとは思うのですが、それにしてもかなり大胆だなあと思うことが多々あります。

一番すごいと思うのは、時間軸がめちゃくちゃなことです(@_@)

例えば教育ステーションE-1077で、新年を祝うパーティーが催されたシーンは、S.D.534年の年末で、この年キース・アニアン、サム・ヒューストン、ジョミー・マーキス・シンは16歳のはずです。

ところが、連載の回数としてはそれ程離れていないと思うのですが、ナスカでジョミーとサムとが再会した年は、S.D.577年で、作中ではジョミーとサムは23歳となっています…

普通に考えて59歳だろ!と思うんですけど(^_^;)

最初に読んだ時にはストーリーを追うのに一生懸命で全く気付きませんでしたが、小学生の私でも二回目に読んだ時におかしいと思いましたよ…

これ、描いてる人達も編集者さんとかも誰も気付かなかったんでしょうか?不思議でたまりません。

それから、ソルジャー・ブルーとフィシスが、いつどこで出会ったかと言うのも、謎すぎ(T_T)

フィシスがユニバーサルの水槽の中でまだ目覚めずにいた頃、ブルーは「恐ろしい囚われの身」(ジョミー談)だったそうですが、ブルーは3世紀に亘って生きたはずで、死んだ時に201歳未満では有り得ません。でも比較的若い頃にユニバーサルの研究所から脱走し、船を奪って地中に潜んだはずですよね…

フィシスがミュウの母船に迎えられたのは、ジョミーが来た50年前ということですから、どう考えてもフィシスが水槽の中にいた頃ブルーは150歳超えてます…

成人検査を受けた14歳からとして、130年以上もユニバーサルの実験体として囚われの身だったの?

しかも、仲間たちとユニバーサルを脱走してすぐ、思いに描く星はと言えば地球ばかりだったはず…

なのに物語も終盤に来て急に、フィシスが水槽の中で見ていた地球の夢に魅せられて、いつしか地球に憧れるようになっていたとブルーが言っているのは、どう考えても納得いかない(ーー;)

まあ30年の間に、出版側の誰かが途中で気付いても、それを訂正するのも恐れ多い程の伝説の名作になってしまったと言うことで(^.^)

何だかんだ言っても、これだけ多くの大胆な設定ミスがありながらなお、何度読んでも新たな感動を覚えるのは、登場人物たちの人物像、人格がしっかりと設定されていてぶれが無く、テーマやメッセージにも一貫性があるからだと思うのでした。