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地球へ…

地球へ…は竹宮恵子さん原作で、アニメ化もされた漫画「地球へ…」を原作寄りの視点で熱く語るブログです

セキ・レイ・シロエの孤独


地球へ…の主要登場人物の中で誰が一番好きかと聞かれたら、みんな好きなのでなかなか甲乙付け難いのですが、二人に絞るなら、セキ・レイ・シロエと、ジョミー・マーキス・シンです。

どうしても一人に決めなきゃダメって言われたら(いや、まあ言われないとは思うんですが…)セキ・レイ・シロエでしょうか。

シロエは、コンピューターによる管理体制に徹底的に反抗し、14歳にしてその壮絶な生涯を閉じた少年です。

地球へ…の中で印象的な台詞はたくさんあるのですが、私にとって最も衝撃的だったのは、シロエがキースにぶつけた「僕は生まれて来たからには、自分の意思で自分の運命を選ぶと決めていた…」という台詞です。

あの異常なまでの管理社会で、コンピューターによる洗脳と監視とを受けながらも、自分の存在意義を見失うまいと、たったの14歳で、孤立無援の中必死で闘ったシロエ…

私はそのシロエの姿に、私にはシロエになかった自分の意思で自分の運命を選ぶ権利があるんだ、生まれて来たからには人間として意味のある生き方をしようと、決意したものでした(単純?)。

第二部にしか登場しなかったシロエですが、非常に重要なキャラクターです。

キース・アニアンは、教育ステーションE-1077でエリート街道驀進中の16歳の時に、シロエと出会います。

それ以前から、コンピューターによる管理社会に漠然とした疑問を持っていたキースですが、シロエとの出会いによって、その疑問は消せないものとなり、地球政府のエリートとなってからも、生涯にわたってキースの胸にくすぶり続けることになります。

シロエが何故そんなにもSD体制を憎んだか、その理由は私の解釈では、自分で選ぶと決めていた自分の運命を、コンピューターに強制的に決められてしまったことを大変な屈辱と感じていたからです。

まだ意識さえ芽生えていない人工子宮の中にいる間に、コンピューターに勝手に選別され育英惑星に送られ、さらに成人検査で記憶を取り替えられ、進路を強制的に決められたことを、絶対に許せなかったのです。

シロエは安穏と体制に支配される生き方より、人間らしい生き方を選んだのであり、決して映画のように単なるマザコンだった訳でも、TVアニメのように単に大人になりたくないピーターパン症候群だった訳でもないのです。

でもこのシロエの気持ちを理解できる人は、そう多くはないのかも知れません。なぜなら、現代人の多くは、自分が自由に選択を行って生きていると考えていて、実は所詮は抵抗できない大きな力に操作され、自由を奪われていることに気付いていないと思うからです。

シロエがこれほどまでにSD体制を嫌い、コンピューターによる支配を拒否しながらも、最期に逃亡を図った先が地球だったというのも、とても悲しい展開です。

だって地球を目指すという意識は、SD体制の下、コンピューターの洗脳によって植え付けられたものですから…

「マザーは僕の意思に勝てなかった」と言ったシロエは、実は既にコンピューターに洗脳されてしまっていたのです。

人間らしく生きるという希望を失わないために、死を覚悟で地球へ向かったのは、実はSD体制に対する敗北で、大変絶望的な最期だった訳です。

キースがシロエを撃墜する直前に「彼の心を占めるものは限りない敗北か、それとも限りない希望なのか」と自問するのは、キースにはそのことが分かっていたからに他なりません。

シロエの死の瞬間、シロエの切ない想いが空間を超えてジョミーに届き、見ず知らずの二人の想いが交差する、そしてジョミーは「時がすぎてゆく中で、ぼくはひとり、ただ一度の存在」と独白しています。

たった一度の人生を大切に生きなければならないことを、また人として正しく生きるということは、時に孤独であるということを、シロエは教えてくれました。

地球へ…の中でシロエが一番好きなのは、そういう訳です。

TVアニメが始まってから初めて知ったのですが、登場人物で誰が好きかと言ったら、圧倒的にソルジャー・ブルーなんですね(@_@)

シロエ派やジョミー派はどうも少ないようだと知り、ちょっと孤独を感じた私でした。

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