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地球へ…

地球へ…は竹宮恵子さん原作で、アニメ化もされた漫画「地球へ…」を原作寄りの視点で熱く語るブログです

Archive for the 'セキ・レイ・シロエ' Category

シロエとキース

Author: admin

12 5th, 2007

シロエとキースとは、正反対なようで実は似ていたのではと思います。

シロエはキースのことを誤解しており、最後まで「感情のないやつ」、「疑いもなくイライザに同調する」と言っていますが、実はキースはかなり感情的であり、かつ体制に疑問を持ちながらも、それを決して表に出さないだけなのです。

新入生ガイダンスで何度も見ているはずの成人検査のくだりを正視できず思わず外に出てしまうキース、サムの諦めの混じった優しさにイライラするキース、イライザに「全てはあなたの指導者としての素質を理想的に開花させるために計算された告知」と言われて憤りを感じるキース、いつもキースは他の人間よりもずっと感情的です。

恐らくは成人検査によって記憶や感情の操作をされていないため、他の人間よりもずっと人間的だったのがキースなのではないでしょうか。

そんなキースには、あくまでも人間らしくありたいというシロエの切実な願いが理解できたのではないかと思います。

だからこそ、自らの手でシロエを撃墜した後に、涙を流したのでしょう。

逆に、シロエにはキースが全く理解できなかったのだと思います。シロエは、キースが感情に乏しく、体制に疑問や不満を持っていないと考えて、うらやましかったに違いありません。

人は自分に無いものを他人が持っている(あるいは自分の持っているものを他人が持っていない)と、羨むものですから…例えそれが誤解であったとしても。

それにしてもシロエが技術者を養成するエネルゲイア出身でありながら、キースと同じエリートコースへ進んだことも、キースに影響を与えたことも、キースの手で「処分」されたことも、全てコンピューターのプログラム通りだったという設定は、何だか空恐ろしく感じました。

運命と言う、本来は人間の力の及ばないはずの領域にまで、自らの作り出したシステムが関与し操作している…

SD体制下の人間たちは、そのことに気付いてもいないことが、悲しくもあり恐ろしくもあります。



11 24th, 2007

セキ・レイ・シロエに対する思い入れを語った流れで、TVアニメでシロエ役をなさった井上麻里奈さんについて少々。

私はTVアニメは子供の頃以来全く見ていなかったので、声優さんのことも全然知りませんでした。地球へ…に出ていた声優さんの中で、名前を知っていたのは浪川大輔さんだけです。

浪川大輔さんは、スターウォーズのアナキン・スカイウォーカー役、ロード・オブ・ザ・リングのフロド役をなさっていたので、名前は知っていました。

でもエンドタイトルを見てリオの声が浪川さんだと知り、声優さんって役に合わせて全然違う声が出せるんだなあと感心しました。

リオの声は、アナキンともフロドとも全く違う人の声に聞こえましたから…

それとキャプテン・ハーレイ役の小杉十郎太さんは、どこかで聞いた声のような気がすると思っていたのですが、グレイズ・アナトミーの心臓血管外科医、プレストン・バークの声の人だったのですね!

小杉さんは、バークの時とハーレイの時とで、ほとんど同じ声だったように思います。なかなか渋くて良い声ですね。

地球へ…のTVアニメで、それぞれの声優さんがみんな役にぴったりの声で、なかなか素晴らしい配役だったと思うのですが、中でもシロエ役の井上麻里奈さんは、出色でした。

シロエが出演した第7話から9話を見た私は、シロエの声が少年の幼さと瑞々しさを残しつつ、聡明で、繊細で、なおかつ怒りと苛立ちを含み、一方でとてもセクシーに感じて、一体この井上麻里奈さんってどういう人だろう?と、ネットで検索してしまいました。

そしてまだ大学を卒業したばかりの22歳の女性と知って、びっくり(@_@)
しかも、何と美しく可憐な容姿…

Premium Fan Disc 3の中では、女の子らしからぬさばさばした面も見せてくれ、またシロエに対する愛着も披露してくれて、嬉しかったです。

私、同性ながら井上麻里奈さんに恋してしまいました(*^_^*)時々麻里奈さんのブログを見に行っちゃう位です…

シロエに井上麻里奈さん以上の適役はあり得なかったと思っています。井上麻里奈さんと言う素晴らしい声の持ち主によってシロエに新しい生命を吹き込んでくれた事に関しては、TVアニメを作った人たちに感謝で一杯です。

でもね、シロエは体制に反抗してはいても、秩序や調和を乱すような子じゃないんです!

人を出し抜いて自分だけ抜け駆けしようとか、そんなセコイことを考えたり、他人を見下したりするような子でもないんです!

ちゃんと友達もいて、人から好かれる子だったんです!

TVアニメのシロエは、やたらと人を見下し、調和を乱し、けっこう嫌な子だったように思います。しかも、シロエはミュウだったということになっており、それはちょっとどうだろ?と私は思いました。

人間でありながらSD体制に反抗し、コンピューターの言いなりになることをとことん拒否したシロエという存在があったればこそ、キースは自分が地球のシステムを護持するために作られた存在で、その運命に逆らうことはできないと知りつつも、ずっと体制への疑問を持ち続けて生きていくことになったのですから…

これがもし、シロエがミュウであったなら、コンピューターによる支配を拒絶するのはある意味当たり前のことで、これ程の影響をキースに与えなかったと思うのですけれど…

でも井上麻里奈さんの演技のあまりの素晴らしさに、ストーリー的には何だかなあと思いつつも、シロエの出てくるくだりを何回も見直してしまった私でした(^_^;)



11 23rd, 2007

地球へ…の主要登場人物の中で誰が一番好きかと聞かれたら、みんな好きなのでなかなか甲乙付け難いのですが、二人に絞るなら、セキ・レイ・シロエと、ジョミー・マーキス・シンです。

どうしても一人に決めなきゃダメって言われたら(いや、まあ言われないとは思うんですが…)セキ・レイ・シロエでしょうか。

シロエは、コンピューターによる管理体制に徹底的に反抗し、14歳にしてその壮絶な生涯を閉じた少年です。

地球へ…の中で印象的な台詞はたくさんあるのですが、私にとって最も衝撃的だったのは、シロエがキースにぶつけた「僕は生まれて来たからには、自分の意思で自分の運命を選ぶと決めていた…」という台詞です。

あの異常なまでの管理社会で、コンピューターによる洗脳と監視とを受けながらも、自分の存在意義を見失うまいと、たったの14歳で、孤立無援の中必死で闘ったシロエ…

私はそのシロエの姿に、私にはシロエになかった自分の意思で自分の運命を選ぶ権利があるんだ、生まれて来たからには人間として意味のある生き方をしようと、決意したものでした(単純?)。

第二部にしか登場しなかったシロエですが、非常に重要なキャラクターです。

キース・アニアンは、教育ステーションE-1077でエリート街道驀進中の16歳の時に、シロエと出会います。

それ以前から、コンピューターによる管理社会に漠然とした疑問を持っていたキースですが、シロエとの出会いによって、その疑問は消せないものとなり、地球政府のエリートとなってからも、生涯にわたってキースの胸にくすぶり続けることになります。

シロエが何故そんなにもSD体制を憎んだか、その理由は私の解釈では、自分で選ぶと決めていた自分の運命を、コンピューターに強制的に決められてしまったことを大変な屈辱と感じていたからです。

まだ意識さえ芽生えていない人工子宮の中にいる間に、コンピューターに勝手に選別され育英惑星に送られ、さらに成人検査で記憶を取り替えられ、進路を強制的に決められたことを、絶対に許せなかったのです。

シロエは安穏と体制に支配される生き方より、人間らしい生き方を選んだのであり、決して映画のように単なるマザコンだった訳でも、TVアニメのように単に大人になりたくないピーターパン症候群だった訳でもないのです。

でもこのシロエの気持ちを理解できる人は、そう多くはないのかも知れません。なぜなら、現代人の多くは、自分が自由に選択を行って生きていると考えていて、実は所詮は抵抗できない大きな力に操作され、自由を奪われていることに気付いていないと思うからです。

シロエがこれほどまでにSD体制を嫌い、コンピューターによる支配を拒否しながらも、最期に逃亡を図った先が地球だったというのも、とても悲しい展開です。

だって地球を目指すという意識は、SD体制の下、コンピューターの洗脳によって植え付けられたものですから…

「マザーは僕の意思に勝てなかった」と言ったシロエは、実は既にコンピューターに洗脳されてしまっていたのです。

人間らしく生きるという希望を失わないために、死を覚悟で地球へ向かったのは、実はSD体制に対する敗北で、大変絶望的な最期だった訳です。

キースがシロエを撃墜する直前に「彼の心を占めるものは限りない敗北か、それとも限りない希望なのか」と自問するのは、キースにはそのことが分かっていたからに他なりません。

シロエの死の瞬間、シロエの切ない想いが空間を超えてジョミーに届き、見ず知らずの二人の想いが交差する、そしてジョミーは「時がすぎてゆく中で、ぼくはひとり、ただ一度の存在」と独白しています。

たった一度の人生を大切に生きなければならないことを、また人として正しく生きるということは、時に孤独であるということを、シロエは教えてくれました。

地球へ…の中でシロエが一番好きなのは、そういう訳です。

TVアニメが始まってから初めて知ったのですが、登場人物で誰が好きかと言ったら、圧倒的にソルジャー・ブルーなんですね(@_@)

シロエ派やジョミー派はどうも少ないようだと知り、ちょっと孤独を感じた私でした。