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地球へ…

地球へ…は竹宮恵子さん原作で、アニメ化もされた漫画「地球へ…」を原作寄りの視点で熱く語るブログです

Archive for the 'キース・アニアン' Category

竹宮恵子さん

Author: admin

03 14th, 2008

地球へ…の原作者、竹宮恵子さんは、ジョミー役の斎賀みつきさんに言わせると、「ソルジャー・ブルーとフィシスを内に秘めている人」だそうです。

どんな物語でも、作った人の内なる人格が登場人物の人格になるのだろうと思うので、ソルジャー・ブルーとフィシスはもちろん、セキ・レイ・シロエもジョミー・マーキス・シンもキース・アニアンも、みんな竹宮恵子さんの中にある別の人格だと言うのは想像に難くないですけど。

地球へ…のマンガ少年別冊版を初めて手にした時に、物語の深さ、面白さにはまったことはもちろん、作者の竹宮恵子さんに対しても、賢くて綺麗な女性なんだなあと、憧れを抱いたものでした。

地球へ…には、竹宮恵子さんの、人間というどうしようもなく愚かな存在を冷静に見つめ、妥協することなくシビアに描く姿勢と共に、そんなどうしようもない人間に対する深い愛情と、人間の進歩と良い変化を信じる姿勢を感じます。

竹宮恵子さんは、本当に素敵な女性なのでしょう。
一度でいいからお会いしてみたいものです。



03 11th, 2008

地球へ…DVD最終巻にジョミーとキースの「もう一つのエンディング」が収録されていましたね。

テレビアニメの製作スタッフの間で、ラストはどうするかと議論され、大変難航したそうなので、たくさんあった案の中から、せっかくだからとおまけに付けられたものなのでしょう。

ジョミーとキースの二人は本来主役のはずなのに、他の登場人物にお株を奪われて存在感どころか存在意義さえ希薄だったので、まあ最後くらいは花を持たせてあげたいところです。

それにしてもこの映像、キースとジョミーの涙が「だらだら」という感じで落ちるのはどうかと(^_^;)
できれば「はらはら」と落としてほしかったんですけど…



指導者

Author: admin

03 9th, 2008

SD体制下では人間の指導者はグランドマザー(とキース・アニアン)、ミュウの指導者はジョミー・マーキス・シンでした。

地球へ…のラストでは、人間たちが自らコンピューターの部品と化してまで再生を図った地球が滅びます。
それと引き換えに、人間とミュウとは和解し、共存への道を歩むことになるのです。

それまで長い長い対立の時代を生きてきたミュウたちと人間たちは、それぞれに強い指導者を必要としたことでしょう。

でも人間たちがコンピューターの支配から解放され、今後は自分たちの意思と判断で生きることになったので、強い指導力で人々を牽引するソルジャーや国家元首は必要なくなったのだと思います。

テレビアニメでトォニィがソルジャーになっちゃったのは、私はとても不自然に感じました。
だいたい監督が、ミュウと人間との新旧交代を描きたかったのなら、今後人間たちはミュウの支配下に置かれ、ソルジャーの導きに従って生きる訳??

だったらグランドマザーがソルジャーに代わっただけで、何も進歩ないじゃないですか(^_^;)

人間って世代を重ねても成長しない生き物で、古代ローマの紀元前の遺跡から、「最近の若い者は」って言う落書きが見つかったと、誰かが書いていました。

科学技術が進歩しても、現代の人間たちは紀元前の人間たちと何ら変わるところがありません。

大切なことを知ろうとせず、自ら考えず、何でも人任せなのに、結果には不満だらけ…
指導者と言われる人たち、権力や地位やお金を持っている人たちも、私利私欲に走り、全体を省みることをしません。

普通の人より優れた人たちが、滅私の精神で世界を変えていく気がなければ、いつまで経っても世界は今のままでしょう。

地球へ…を通して竹宮恵子さんは、そんな人間たちに「目覚めよ人よ」と呼びかけているのだと思うのです。

ジョミー・マーキス・シンが、キース・アニアンが、自らを捨てて、命を懸けて自分の下にある人たちを導こうとしたように、実在の指導者たちが考えれば、世界は変わるに違いありません。

そして、全ての人間が誰からも支配されず思うままに行動して、なおかつ正しく生きることができるようになれば…

そう考えると、地球へ…のラストは、究極のユートピアへのプロローグだと思えるのです。



マツカとキース

Author: admin

02 11th, 2008

私立シャングリラ学園に、とうとうマツカが出演しましたね…
いつ出るのかなあと思って実は少し楽しみにしていたのですが(*^_^*)

マツカはキースに恋愛感情にも似た想いを抱いていたという、テレビアニメを作った人たちの解釈がよく分かりました。

テレビアニメでは、マツカがナスカへキースを救出に向かう時、マツカにはキースが生きているという確信はなく、ただ「僕はあなたを…」という気持ちだけで飛び出して行ったことになっていました。

でもね、マツカは別にそういう気持ちがあったから敢えて危険を冒してまで、単独キースを救出しにナスカへ赴いた訳ではないのですよ。

マツカは原作で、「見捨てられる訳がない!彼はまだ生きているとこれほどはっきりと確信できるものを…!」と考えています。

マツカとキースとは出会ったばかりで、しかも初っ端からマツカはキースに精神攻撃をかけ、キースはキースで「私の後ろから近づくな!」ですからね…

二人の間にこの時点で何か特別な感情や、通じ合うものがあったとは到底思えません。

それでもなおマツカがキースの救出を決意したのは、マツカはミュウだったのでキースの生存を感じており、なおかつ好きとか嫌いとかに関係なく、自分と多少なりとも関わりのあった人間の生存を知っていて平気で見捨てることはできなかったからです。

恐らく洗脳の行き届いた人間であったなら、こんな感情は持たないでしょうし、勝算もないのにそんな無謀な行動には出ないでしょう。

仮に無謀であったとしても、人間として取るべき行動を取ったマツカ…
マツカの人間らしい心が、子供だった私の心を打ったものでした。

それにしても私立シャングリラ学園のマツカはすごかった(^_^;)
コーヒーだけじゃなくて手作りチョコレートも作れちゃうなんて、絶対良いお嫁さんになれます。

そして高城元気さんが楽しそうに演じていること…この可愛さ、異常ですね(^_^;)
やっぱりとても男性とは思えません…

そういえばコミックリーディングは自然消滅したのでしょうか?私はテレビアニメのストーリーはともかく、配役はかなり良いと思っているので、コミックリーディング好きだったんですけど。



E-1077

Author: admin

01 25th, 2008

E-1077では成人検査を優秀な成績で通過した少年少女1000名を教育していました。

14歳の誕生日が成人の日なので、恐らくそれまでに今の高校卒業程度の教育が終わって、E-1077は大学教育に相当するのだと思います。

エリート1000名しかいないので、選りすぐりの学生ばかりなのでしょう。現代の日本では超一流大学と言えども、毎年1万人以上の新入生が入学するのですから…

そう考えるとたったの2年間で教育が終わってしまうのも不思議ではありません。
宇宙きっての超エリートばかりなら、2年で相当な量と質の勉強ができちゃうことでしょう。

でもその超エリートの中でもやはり優劣がついてしまう残酷さ…キースとサムとは、同じ教育を受けながらも、一方は16歳にして地球政府の中枢の一端に付き、他方はパイロットか通信士が関の山と言っていました。

ところでE-1077の教育課程は、恐らく2年間が1クールになっているのだと思います。
そうでなければ、シロエとキースが「抜きつ抜かれつトップ争い」することは出来ませんからね…

テレビアニメでは映画の影響を受けたものか、教育ステーションでの教育は4年間になっていたのですが、地球の役に立つ人間を育成することに特化した教育課程ですから、そんなに長時間必要ないでしょう…

その設定により、シロエとキースとは4歳違いということになってしまい、シロエがキースに匹敵する頭脳の持ち主だったということが良く分からなくなってしまっているのは残念です。

私立シャングリラ学園では、現代日本の教育課程の概念を持ち込んでしまったことで、かえって面白くなっていましたけど。

シロエが高らかに「僕は機械の申し子に勝ったんだ!」と叫ぶのに対し、「君、キースと学年違うじゃん…ってか君、中等部だし…」と冷静に突っ込むジョミー…

もう笑い過ぎて、死ぬかと思いましたよ(^_^;)
井上麻里奈さんの声の可愛らしさと弾けっぷり、やっぱり良いなあ…



キースの心の穴

Author: admin

01 16th, 2008

ナスカに囚われの身となったキース・アニアンは、コンピューター制御による意識のプロテクトにより、眠っている間にも、地球の本当の情報を決してミュウに与えませんでした。

その鉄壁の心に穴を開けたのが、トォニィです。

キースがSD体制始まって以来の本当の人類、トォニィの存在に衝撃を受けたのは、人間をコンピューターの部品のように扱い、不自然な方法で繁殖し、異質なものを排除して種の存続を図るSD体制に、心の奥で疑問を持ちながらも、そのSD体制の申し子としてこの世に生を受けた以上、その運命には逆らえないという、深い矛盾を抱えていたからでしょう。

トォニィの存在によって自分の中の矛盾を意識し、ついジョミーに自分の心への侵入を許してしまったキースは、ジョミーに「心の半分はシステムに反対している」ことを知られ、動揺します。

「不純物は出るさ…良質なものを作ろうとすれば当然だろう…危険な不純物は処分するのが適切だ!」とメンバーズ・エリートとしての建前を口にしながらも、サムやシロエの面影が脳裏を過ぎり、戸惑うキース…

自分のピアスがサムの血で出来ていることをもジョミーに知られ、「ロマンチストだな」と言われてしまい、キースは逆上します。

ジョミーとキースとが結局ここで理解し合えないことが、子供の私には今ひとつ理解できず、残念でなりませんでした。

ジョミーもキースも、常にいかに生きるべきかを自問しながら自分の属する世界に身を捧げる立派なリーダーであり、お互いが少し譲歩し合えば良い理解者になれるのにと思ったのです。

でも大人になってから、ジョミーとキースとが何故理解し合えなかったのかが、分かるようになりました。

個人としての正義と、集団としての正義とが合致しないことが往々にしてあり、そういう時には集団の正義を行動の規範にしてしまうのが人間なのですよね…

そこに生まれるのが対立であり、誤解であり、憎悪であり…

同じようにシステムに疑問を持ちつつも、ジョミーとキースとが互いの死の直前まで分かり合えなかったことは、本当に悲しいことですが、これが私たちの住む世界の現実なのだと、今では思います。



キースとスウェナ

Author: admin

01 15th, 2008

キースは教育ステーションE-1077の同級生スウェナに淡い恋心を抱いていたと思います。

エリートである自分たちは普通の人のように恋をしたり家庭を持ったりすることはできないのだと、自らを厳しく律するキースは「スウェナ、きみならわかるはずだ」と言っています。

キースに一目置かれ、そう言わせるスウェナは、やはり成績優秀なエリートだったのでしょう。また、女性らしい可愛らしい容姿でもありました。

スウェナが一般人コースへ転入するため宇宙船に乗ってE-1077を出発するのを見送り、キースは「生涯の伴侶か…何か空しい」とつぶやきます。

単に自分がエリートとして生涯独身を通さなければならないというだけではなく、頭脳明晰にして美しい同級生スウェナに対して、特別な感情を持っていたからでしょう。

でもシロエが命を懸けて自分の信念を貫いたのを目の当たりにしても、「心の底の底で何かがうずいている」のを「押し殺すくらいわけはない」キースには、恋愛感情を押し殺すことも大して難しいことではなかったに違いありません。

それにしてもスウェナが宙港の技師と恋に落ち、月日と共にそれが深まり、悩みながらもついにエリートコースを退学してまで結婚しようと決意する過程を、たったの7コマで描写しているのは、素晴らしいの一言に尽きますね。

映画のように簡潔かつ印象的に、スウェナの恋とキャリアとの狭間での苦悩が描かれています。

スウェナの人となりは詳しく描写されていないのに、きっととても魅力的な女性だったのだろう、だからキースも好意を持っていたのだろうと、自然に納得できます。

間違ってもキースへの恋心がかなわないと知り、手近な男性と結婚しすぐ離婚して、SD体制下ではありえない反体制ジャーナリストになったり…以下長くなりそうなので略(^_^;)



ミュウ因子(続)

Author: admin

01 11th, 2008

前回ミュウ因子はコモン(一般人)で20人に一人、軍部で10人に一人と書きましたが、その後原作を読み返してみて、誤りに気付きました。

キースはグランドマザーに、一般人よりも軍人の方が高率と報告していますが、具体的にどの位の割合かは口にしていませんでしたね。

20人に一人は、コモンのESP反応陽性率でした。

10人に一人がミュウ因子を持っていて、その内二人に一人はESP反応陽性となると言うことですね…

そう考えると、ミュウ因子は普通の遺伝子じゃないのかも(^_^;)
そういう遺伝形式、どなたか分かる方があれば、ぜひ教えて下さい。



ミュウ因子

Author: admin

01 10th, 2008

ミュウ因子は遺伝子に違いないと、大人になってからは考えていました。

子供の頃はどう考えていたかと言うと…全く思い出せません(^_^;)おそらく理解できない概念は私の脳を素通りして行ったのでしょう。

ミュウが地球へ向かって進攻し、地球側では全人類に対してESPチェックを行うことになりました。

キースがその際グランドマザーに報告した内容によると、コモンは20人に一人、軍部は10人に一人がミュウ因子を持っており、エリートでは更に高頻度と予想されると言うことでした。

これはかなり多いですね(@_@)

ミュウ因子が一つの遺伝子と仮定すると、ミュウの生まれる頻度から考えて劣性遺伝子でしょう。

20人に一人の旧人類がミュウ遺伝子を持っているなら、ランダムに組み合わせれば、メンデルの法則に従うと、ミュウの生まれる確率は1600分の1です!

軍部の人間の配偶子を使うと、これが一気に400分の1に上がってしまいます…

これではあっと言う間に旧人類はいなくなりそうです(^_^;)

多分グランドマザーはミュウ遺伝子を特定し、排除は禁じられているため、配偶子の組み合わせを操作することによってミュウの出現頻度を少なく押さえていたに違いありません。

ミュウのようなマザー以上を求める者が増えてしまうと、自分の危機を招く結果になりますからね…

最終的にはマザー以上を求める者の代表、ジョミーによって破壊されてしまう訳ですが。

グランドマザーはやはり、自分に対抗する者をありとあらゆる手段を尽くして根絶しようとする独裁者の姿そのままです。



万年中間管理職

Author: admin

01 7th, 2008

キース・アニアンが、ナスカ近辺での連続事故調査をグランドマザーから任命され、地球防衛本部へ赴いた時に迎えたのは、冴えない万年中間管理職でした。

地球防衛本部でのキースと万年中間管理職のおじさんとのやり取りが、面白すぎます。

「”冷徹無比な破壊兵器”と異名を取っているそうだな」、「研修生時代には”コンピューターの申し子”と言われたとか?」と挑発し、見下して何とか優位に立とうと画策する万年中間管理職のおじさん…

こういう人いるいる!と、とてもリアルに感じてしまいます。

それに対してキースは顔色も変えず、「またか 万年中間管理職のくだらない皮肉…」、「へたな政治家ほど人の噂に耳ざとい-空しいものだな」と、落ち着き払って考えています。

その後「かなわぬと知ると手のひらを返したようにおせじだ」と、そっぽを向いて小さくため息をつくキース…

でもこのおじさんもエリートの端くれ、キースにかなわないこと位は理解できるようです。世の中には、それにさえ気付かない人が大勢いますからね(^_^;)

若きスーパーエリート、キースに対して、劣等感、嫉妬心と同時に、対抗意識を燃やしてしまう万年中間管理職の姿は、そっくりそのまま竹宮恵子さんの実体験から生み出されているのではと思いました。

竹宮恵子さんも高校生の時から漫画が雑誌に掲載され、新進気鋭の漫画家としてその才能を認められ、話題になり、注目されていたに違いありません。

それを面白くないと思う先輩の漫画家もたくさんいたはず…

竹宮恵子さんは恐らく何度も、キースのような経験をしているのではないでしょうか。
地球防衛本部でのこのやり取りが妙にリアルなのは、そのせいだろうと思います。

キースに、別に望んだ訳ではないのに他者より優れた人間に生まれ付いてしまった者の悲哀を感じるのは、竹宮恵子さん自身がそうだったからなのでしょう。

それにしてもこの万年中間管理職、絶対実在のモデルいるよね…と、読みながらいつも思ってしまう私です。