キース・アニアンが、ナスカ近辺での連続事故調査をグランドマザーから任命され、地球防衛本部へ赴いた時に迎えたのは、冴えない万年中間管理職でした。
地球防衛本部でのキースと万年中間管理職のおじさんとのやり取りが、面白すぎます。
「”冷徹無比な破壊兵器”と異名を取っているそうだな」、「研修生時代には”コンピューターの申し子”と言われたとか?」と挑発し、見下して何とか優位に立とうと画策する万年中間管理職のおじさん…
こういう人いるいる!と、とてもリアルに感じてしまいます。
それに対してキースは顔色も変えず、「またか 万年中間管理職のくだらない皮肉…」、「へたな政治家ほど人の噂に耳ざとい-空しいものだな」と、落ち着き払って考えています。
その後「かなわぬと知ると手のひらを返したようにおせじだ」と、そっぽを向いて小さくため息をつくキース…
でもこのおじさんもエリートの端くれ、キースにかなわないこと位は理解できるようです。世の中には、それにさえ気付かない人が大勢いますからね(^_^;)
若きスーパーエリート、キースに対して、劣等感、嫉妬心と同時に、対抗意識を燃やしてしまう万年中間管理職の姿は、そっくりそのまま竹宮恵子さんの実体験から生み出されているのではと思いました。
竹宮恵子さんも高校生の時から漫画が雑誌に掲載され、新進気鋭の漫画家としてその才能を認められ、話題になり、注目されていたに違いありません。
それを面白くないと思う先輩の漫画家もたくさんいたはず…
竹宮恵子さんは恐らく何度も、キースのような経験をしているのではないでしょうか。
地球防衛本部でのこのやり取りが妙にリアルなのは、そのせいだろうと思います。
キースに、別に望んだ訳ではないのに他者より優れた人間に生まれ付いてしまった者の悲哀を感じるのは、竹宮恵子さん自身がそうだったからなのでしょう。
それにしてもこの万年中間管理職、絶対実在のモデルいるよね…と、読みながらいつも思ってしまう私です。