ジョミー・マーキス・シン

フィシス

地球へ…マンガ少年別冊版に収録されている「地球へ…創作ノート」を読むと、竹宮恵子さんが地球へ…を描き始めたきっかけ、登場人物の名前の由来などが分かり、興味深いです。

地球へ…創作ノートの中に「フィシス(ギリシャ)自然」と書いてありました。

ギリシャ語の「フィシス」は、英語に訳すと”nature”となるようです。

ギリシャの詩人ホメロスは、その叙事詩「オデュッセイア」の中で、それぞれの植物に本来そなわっている本質的な性質、転じて「生物をはじめ世界の全てが、外界からの影響と無関係に発展しようとする自然な性質」という意味でフィシスという言葉を使ったそうです。

ジョミーと初めて顔を合わせた時フィシスは、「原始=自然です。それなくして生物はあり得ません」と言っています。

竹宮恵子さんは、人間は本質的に良い方向へ向かう可能性を秘めているものと信じ、人間に対する希望を失っていない人なのだと思います。

フィシスの名前は、偏った価値観や先入観に支配された人間たちにも、自分たちの本質に気付き、人間本来の良い方向に向かう力があるはずという竹宮恵子さんの考えを表しているのでしょう。

また、手を当てるだけで生物、無生物に関わらず、そのものの本質を感じ取るフィシスの能力は、名前と深い関係があったのですね。

地球へ…のラストで地殻変動と大噴火の中、その手を通してたくさんの人たちに心の平安を与えるフィシス…

SD体制という箍を外された人類は、フィシスによって、本来自分たちが進むべき方向を悟り、種が発芽し大木になるように、今後は時間をかけてより良い方向を模索して行くのだろうと思わせるラストでした。

でもTVアニメでのフィシスの存在意義は…まあこれ以上は語るまい(^_^;)

私立シャングリラ学園の、昼メロ好きで妄想癖が過剰なフィシスはなかなか良かったですけど。