ジョミー・マーキス・シン

ジョミーの両親はどうなった?

地球へ向かうと同時に、システムの要である教育を担う育英都市を制圧するため、アタラクシアを目指したジョミーたち。

アタラクシアを制圧したジョミーが真っ先にリオに調査を頼んだのは、もちろん両親の所在でした。

そのすぐ後、テラズナンバー5と対決した時に「15年前お前の成人検査から逃れた」と言っているので、ジョミーは29歳で、その15年間両親のことを思わなかった日はなかったことでしょう。

恐らく両親の方は、それ程愛着を持ってジョミーを育てた訳ではなく、職業だから職務(とコンピューター)に忠実に一生懸命義務を果たしただけなので、ここまで一途に両親を想うジョミーの心が哀れでした。

しかも両親は、ジョミーが成人検査に合格できずミュウとして生きることになった時点で、「処分」されていたことは間違いないでしょう。

竹宮恵子さんは、主な読者が子供であることを想定した少年漫画で、はっきりとそれを描写するのを避けたのだと思います。

リオの「あなたのご両親はすでに他の育英都市に移されてしまっていて…おそらくあなたの逃亡の直後でしょう。行き先の明示はありませんでした」と言う台詞が、全てを表しています。

完璧なコンピューター管理社会で、異動先が分からないなどと言うことが起ころうはずもありません。

思わず「…殺されたのか?」と問うジョミーに、「いいえ!まさか!確かに移籍したと記録されていただけです」と苦し紛れに答えたリオ自身の両親も同様に、不適格者を育ててしまった養父母ということで、リオがミュウの船に迎えられた後に「処分」されたに違いありません。

SD体制下では、14歳のいたいけな子供を、成人検査に失敗し、地球のシステムを知り、なおかつ洗脳されず子供のままの危険分子というだけの理由で簡単に処刑してしまえるのですから、大人であればなおのこと、それ以外の結論はないと思います。

それでも「マムもどこかの星でミュウの子を世話するようになるだろうか」と、あくまでも両親がどこかで健在でいるという希望を捨てないジョミー…

ジョミーの強さであると同時に弱さでもある優しさと、繊細さとを感じました。