ジョミー・マーキス・シン

ソルジャーとしてのジョミー

ジョミー・マーキス・シンは、初代ソルジャーのソルジャー・ブルーが自分の死期を悟り、次代のソルジャーとして選び、ミュウの未来を託した人物でした。

ソルジャー・ブルーは、いわばスターウォーズのオビ・ワン・ケノービに相当する人物で、主人公を否応なしに日常の世界から非日常の物語の世界に招くための存在です。

だから、とても重要で、物語の象徴的人物なのですが、やはり物語が始まり、ジョミーがミュウとして生きていくことを決意した時点で死ぬのが必然だったのです。

ブルーが死の間際に全てのミュウたちに、ジョミーを次代のソルジャーとして自分の心を託すと伝えたからこそ、ミュウとして覚醒したばかりのジョミーが長となったのです。

ジョミーをミュウとして受け入れることにさえ反対したり疑問を持ったりしたミュウ達は、ソルジャー・ブルーの遺志でなければ到底ジョミーをソルジャーとして受け入れることはできなかったと思います。

また、ソルジャー・ブルーが亡くなったからこそ、ジョミーはソルジャーを継がなければならず、ミュウたちにもジョミーをソルジャーとして受け入れる以外に選択肢が残されていなかったのです。

地球へ…のTVアニメを私が初めて見た回は、17回目(ナスカが攻撃される回ですね)だったので、何故かブルーが出ているのを見て、うーん…これはブルーに見えるけど別人?それとも回想?それとも何故かまだ生きてるの?と混乱しまくりでした。

スカパー!の特別番組の中で、TVアニメのスタッフ、出淵裕さんが、ソルジャー・ブルーを原作と違い、ナスカまで生きる設定にしたのは、ジョミーがいきなりソルジャーになれる訳がないからだとおっしゃってましたが、それってブルーが好きだから、活躍させたかっただけでは?

ソルジャー・ブルーが「眠り続けている」という中途半端な存在だったので、ジョミーは長としての自覚がいつまでも足りず成長しないし、他のミュウたちからもいまいち信頼されないし、活躍もしなくて存在意義も薄いし、かわいそうでした。

ソルジャー・ブルーはやはり、スターウォーズのオビ・ワン・ケノービのように、主人公に強烈な印象と影響と使命を与えたら、すぐ退場するべきだったのですよ…

どうしてもブルーが好きで、ブルーというキャラクターを動かしてみたかったのなら、スターウォーズのように、時代を遡ってエピソードを作れば良かったのになあ(T_T)

地球へ…の原作では、否応なくミュウの長、ソルジャー・シンとなってしまったジョミーは、悩み苦しみ試行錯誤しながらも、一生懸命リーダーとしての役割を果たそうとします。

地球へ…の中で心に残る台詞は本当にたくさんあるのですが、地球防衛本部へ向かう時にジョミーが言った「戦いはもう終わりだ これで最後……行かなければまだ続く だからぼくは行く」もそのひとつです。

リーダーたるもの、自分の生命を賭けてでも実現しなければならないことがあるのだと、子供ながらに感銘を受けたものでした。

そんな立派なリーダー、なかなか現実の世界には少ないですよね…
私もいつの間にか人をまとめる立場に立ってしまい、リーダーとしての資質を試されるようなこともままあります。

その度に何故か思い出すのは、若い頃の上司ではなく、ジョミーのことなんですよね(^_^;)
ジョミーのように誰よりも賢く強い一方で、繊細かつ優しく、いつも全体の利益を考える人間になりたいなあと、大人になった今でも思います。